マンションみらいネットのおすすめ

 マンションみらいネットとは、財団法人マンション管理センターが運営する、@マンションの適切な維持管理の促進、A中古マンション流通の活性化を目的として構築したマンションの履歴情報システムです。

 マンションの過去のデータは管理組合の中で保存、管理されるものです。
 保管庫を集会室などに購入し保存されているケースが大半だと思いますが、理事が交代するという管理組合の特性上、継続的に整理されているとは言えないのが現状だと思います。
 築年数が経過すれば経過するほど保管する書類は多くなり、過去のデータを探し出すのに一苦労、見つかればまだいいですが、紛失して探し出せないという状況も多くあります。図面などは痛みがひどく使い物にならない、などという話もよく聞きます。

 こんな状況の中で、マンション管理センターは、マンションの建物概要、管理情報、修繕履歴等の情報をセンターのコンピューターにデータベースとして登録し、インターネットを通じて随時閲覧できるシステムを構築しています。必要に応じて文書・図面等の図書を電子化し、蓄積・保管を行うこともできます。
 みらいネットには、目的に応じて2つのコースが用意されています。

 マンションみらいネットの説明はこちらから。

 マンション管理センターは管理組合にとってのメリットとして、以下の項目を紹介しています。
  ・情報の蓄積がもたらす計画的・効率的な修繕工事の実施
  ・情報共有化に伴う組合員間の合意形成の向上
  ・組合情報、修繕履歴、図書類の整理・保管
  ・他のマンション等との比較に基づく管理のレベルアップの促進
  ・管理情報の公開によるマンションの適正評価の獲得

 しかし、このような項目は、管理組合内部での業務効率の向上という視点よりも、むしろ既存のマンションが資産価値維持の手段として取り組まなければならない課題だと私は捉えています。
 もはや世帯数に対して住戸数が過大となる家余りの状況は自明で、これからのマンションは新しい買主(中古マンション検討者)に選んでもらうことを前提に維持管理しなければなりません。
 国もスクラップアンドビルド(古いものを壊して新しいものを建てる)時代からの転換を目指して様々な施策を講じており、質の良い中古住宅は、住宅検討者の間でも徐々に人気が高まっているのです。

 今や少し高価なものを購入する前に、インターネットで商品情報を下調べすることは当たり前の時代ですが、マンションではどうでしょうか?新聞折込のチラシと同程度の情報しか得られないケースがほとんどです。
 また、マンションは管理を買えと言われて久しいですが、中古マンションを選ぶときにどうやって管理状態の良い物件を見分けるのか?今は不動産仲介会社にたずねるか(彼らは管理のことは全く知りませんよ)、せいぜいマンションの清掃状況を確認するぐらいしかありません。

 積極的な管理組合の中には、管理組合の運営するホームページを作成している事例もありますが、よく聞いてみれば、作ってはみたものの、その後情報の更新が大変でほとんど活用されていない、などという声も多いのです。
 みらいネットの中に用意されるコミュニケーション機能を活用して情報の共有や意見交換をすれば、情報の更新に悩まされるなどということもありませんし、まだまだ一般に普及しているとは言えないみらいネットかもしれませんが、中古市場での適正相場維持のための必要な作業を、一手に引き受けてくれている素晴らしいシステムだと私は考えています。

 確かにみらいネットへの登録はコストと手間が発生します。
 管理組合が意思を持って取り組まなければ登録は難しいと思います。
 しかし、意思を持って取り組むのであれば、管理会社やマンション管理士などサポート体制は整っているのです。
 自分たちのマンションがスラム化の恐怖を感じる前に、攻めの管理に転換しましょう。
 みらいネットはそのための一里塚になり得ると私は考えるのです。